過酷な闘病生活を送らなければならない患者に対して緩和ケアを行う際は、高いスキルと観察力が看護師に求められます。患者やその家族から必要な情報収集をして、様々な視点から最もふさわしいと思われるケアを行う必要があるからです。患者が苦痛を感じている部位や、苦痛の程度をきちんと把握できないでいると、適切なケアを行うことはできません。ですから、看護師は、関係者全員から話を聞いて正確な情報を引き出し、患者の苦しみや不安を和らげることが大切です。
ただし、いくら関係者全員の情報が必要だといっても、一番重視すべきは患者の気持ちでしょう。可能な限り病と戦う当人の希望を叶えることが重要です。しかし、それが難しい場合は、患者の家族の意思が大きなポイントとなります。普段患者がどのように過ごしているのか、どういった風に病と向き合おうとしているのかをヒアリングしましょう。闘病生活を送っている患者の中には、自分の希望を家族に話している人が少なくないので、本人の希望を聞き出せないときには、家族の意見をケアに反映させてください。そして、決して患者やその家族をないがしろにしないようにしましょう。
緩和ケアにおいては、時として患者やその家族と、医師の意見が一致しないことがありますが、そのようなときは看護師が間に入らなけばなりません。そして、双方の意見を上手く伝えて、ベストな方法が選択できるようにフォローするようにしてください。